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スター効果(アステリズム)

スタールビー スターサファイア
スタールビー スターサファイア
India
説明用イラスト
 
Mysore, India ルチルの方向と線条の方向

 スター効果星彩効果)とは、宝石内部にある針状の鉱物によって、複数の線条(白い光の帯)が出現する光学現象です。専門的にはアステリズム(Asterism)と呼ばれています。右上の展示品(スターサファイア)を観てください。写真では分かりづらいのですが、3本の線条が交わりながら、宝石の結晶の外部に現れています。この様子が星に似ていることが効果名の由来です。スター効果はサファイアと同じ種類の鉱物(コランダム)であるルビーにも出現します。左上の標本がスタールビーです。右下のイラストのような線条が現れます。なお、全てのルビーとサファイアがスター効果を示すわけではないので、注意してください。また、他の鉱物にもスター効果は出現します(コラム参照)。
 次に、スター効果が生じる理由を紹介しましょう。スター効果を示すルビーやサファイアには、針状の鉱物が不純物として含まれています。左上のスタールビーの写真をよく観てください。3本の矢印のイラストで示した方向(左右と斜めの2方向)に細かい筋(注意:他の向きの不規則な筋は表面のキズ等です)が密集して含有されています(この様な状態をシルクインクルージョンといいます)。細かい筋の正体はルビーに含有されているルチルの結晶です。ルビーの結晶内部には、すき間が規則的に存在しており、ルチルの結晶は、そのすき間で成長します。つまり、ルビーの結晶には、ルチルの結晶にとって都合の良い空間が含まれています。ただし、その空間には規則性があるため、ルチル結晶が成長できる方向は3方向に限定されます。シルクインクルージョンが発達した結晶を適切にカットすれば、ルチルによって反射された光が集約されて、線条が発生{原理は猫目効果(シャトヤンシー)と同じです。詳しくはリンク先を参照してください。}します。一方向に分布するルチルから生じる線条は1本です。下のイラストのように3本の線条が揃って、スター効果が出現します。

コラム「その他のスター石」
 スター効果を示す宝石はスター石と呼ばれています。このコラムでは、ルビーとサファイア以外のスター石を紹介しましょう。
 まず、有名なのがローズ・クオーツです。シルクインクルージョンが発達したものには、スター効果が現れ、スター・ローズ・クオーツとなります。ただし、ルビーやサファイアの様に、シルクインクルージョンによる反射光が生成させたスター(エピアステリズム)は不鮮明です。結晶を透過した光によるスター(ディアステリズム)の方が明瞭に見えます。そのため、アクセサリー等では裏に銀メッキが施されています。
 スピネルアルマンディン(ガーネットの一種)にも、スター効果を示すものがあります。ただし、3本の線条ではなく、直角に交わる2本の線条からなるスター(十字スター)が出現します。スピネルには、ルチルの針状結晶が互いに直交する2方向に配列して、含まれています。同様に、アルマンディンは、輝石角閃石の繊維状結晶を含有しており、適切にカットすれば、スター・ガーネットになります。

スター・ガーネット
スター・ガーネット

スタールビー  &  スターサファイア  &  スター・ガーネット (裸石)
スタールビー (リング)


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