マンドラビラ隕石

オクタヘドライト(異常種)
マンドラビラ隕石
Mundrabilla, Nullarbor Plain, West Australia, Australia

1911年発見、価格(1グラム):¥120

 マンドラビラ隕石は西オーストラリア州と南オーストラリア州に広がるナラーボア平野で回収されました。まず、1911年に1トン程度の塊が2個発見され、1966年にも16トンと6トンの塊が発見されました。2回目の発見場所は、ナラーボア平野を東西に横切っているオーストラリア大陸横断鉄道から180mほど離れた地点でした。その後、握り拳の大きさのものが500個以上回収され、総回収重量は24トンを超えています。余談ですが、オーストラリア大陸横断鉄道は世界最長の直線区間(478km)が存在することで有名です。その直線区間にはマンドラビア駅が存在します。シドニーとパースを64時間で結ぶ特急列車(インディアン・パシフィック号)も、同駅に停車します。
 マンドラビラ隕石の切断面を酸処理すると、ウィドマンシュテッテン構造と呼ばれる縞模様が現れます。隕石を構成する鉄ニッケル合金の構造から、マンドラビラ隕石はオクタヘドライトと呼ばれるグループに分類されています。しかし、金属元素の濃度を用いた分類法(コラム参照)では、どのグループにも属さず、異常種に分類されています。また、マンドラビラ隕石は含有物が多い隕石です。隕石内部にはトロイライト(FeS)という黒色の硫化鉱物が脈状で大量に(最大で35%)存在します。ケイ酸塩鉱物(カンラン石輝石長石など)からなる岩石片も含まれています。

金属元素による鉄隕石の分類

金属元素の濃度による鉄隕石の分類
Ni:ニッケル、Ga:ガリウム、Ge:ゲルマニウム、1ppm=0.0001%

コラム「鉄隕石の分類法:組成編」
 鉄隕石は、ニッケルの濃度と別の金属元素(ガリウム、ゲルマニウム、時に、イリジウム)の濃度の関係によって、上のグラフのように13のグループに分類されています。グループ名は元来、ニッケルの含有量により分類(A、B、C・・・)と別の金属元素の含有量により分類(氈A、。・・・)を組み合わせたものでしたが、現在では順番に間違いが生じています。また、蘗Bのように2つのグループが合併されたものもあります。大部分の鉄隕石は13のグループのいずれかに分類されますが、どのグループにも属さない鉄隕石が80個ほど存在し、異常種と呼ばれています。
 13のグループの鉄隕石は、それぞれ異なる小惑星の破片と考えられています。小惑星の内部でマグマが生じると、化学組成が変化した部分が小惑星の内部に生成します。しかし、生成した部分(小惑星の内部の一部)の化学組成が、別の鉄隕石グループと同じになることは不可能です。つまり、グループの違いはもともと組成の異なる小惑星に由来すると判断できます。マンドラビラ隕石のような異常種も存在することも考慮すると、鉄隕石には多数(おそらく100以上)の小惑星の破片が含まれていることになります。

ほんもの隕石観察セット ●隕石標本 ● 隕石標本2  ● 隕石標本3


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