桜石

ホルンフェルス中の桜石 桜石
京都府 亀岡市 桜天神

 左側の標本は母岩付きの桜石です。母岩は堆積岩がマグマと接触することによって形成された変成岩の一種で、ホルンフェルスと呼ばれています。桜石という名称は正式な鉱物名ではなく、桜の花に似ていることに因んだ俗名です。標本屋では、右側の写真のように、分離したものを花の形状でディスプレイしたものが販売されています。
 桜石は雲母緑泥石の混合物で、菫青石(アイオライト)が風化して誕生しました。菫青石は四角柱状の結晶を形成する鉱物です。桜石の元となった菫青石の場合、3つの結晶が互いに貫通する双晶(貫入三連双晶)を形成していました。そのため、桜石には花びらのような形状が6つ存在しています。
 桜石の採れる桜天神は、菅原道真ゆかりの神社と言われています。菅原道真が太宰府へ左遷される際、別れを惜しんだ家臣へ桜の木を贈りました。桜天神は、家臣が桜の木を育てていた場所だと、伝えられています。桜石は厄除けとして、参拝者へ配られていたそうです。大正末期、桜石は天然記念物に指定されました。現在では採掘は禁止されています。展示品は、京都にある老舗の標本屋で購入しました。

桜石(原石標本)


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