軟玉(ネフライト)

化学式:Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2

ネフライト 軟玉
Nelspruit, South Africa Yakutiya, Siberia, Russia

 軟玉(なんぎょく)はヒスイ(翡翠)の一種として取り扱われている宝石です。緻密で丈夫なため、中国では古くから、彫刻に利用されていました。命の宿る石として重宝され、王妃の復活を信じて、ミイラを包む宝飾品としても使用されていました。最初は(ぎょく。中国読みではユウ。)と呼ばれていましたが、18世紀にビルマから硬玉(ジェダイト)が持ち込まれるようになると、硬玉に比べて軟らかい(参照:硬玉と軟玉の違い)ので、軟玉と呼ばれるようになりました。英名のネフライト(Nephrite)はギリシャ語 nephros (腎臓の意)から生じた言葉です。スペイン軍は中南米を侵略した時、インディが熱した軟玉の小石を腰に押し当てて腎臓の治療をしていることをスペイン軍は知りました。そして、本国に軟玉を持ち帰ったことに由来する命名です。
 軟玉は透閃石Ca2Mg5Si8O22(OH)2}と鉄緑閃石Ca2Fe5Si8O22(OH)2}の中間の成分を角閃石を主成分とする岩石です。鉄緑閃石中の鉄がマグネシウムに入れ替わる割合において、下図の様に呼び名が分かります。鉄が多く含まれているものほど緑色が濃くなり、緑閃石が硬玉(ジェダイト)に近い色彩を呈しています。

0 5 0 90 100%
鉄緑閃石 緑閃石 透閃石
Ca2Fe5Si8O22(OH)2 Ca2Mg5Si8O22(OH)2

 軟玉は世界各地に分布しています。硬玉(ジェダイト)と同じ様なところでも産出することがあるので、注意が必要です。主な産地を下表に掲載します。

主な産地 コメント
中国・新疆ウイグル自治区  紀元前4世紀頃から、中国の重要な産地。タリム盆地やクンルン山脈辺りで産出。和田(ホータン)で採れたものは和田玉と呼ばれている。
台湾・花蓮県  石綿と共生。猫目効果を示すものがある。台湾で加工されたものの多くが、海外の原石を使用している。
ニュージーランド・南島  先住民族マオリ族が石斧に使用。アッキスストーンとも呼ばれる。マオリ・ストーンとも、ニュージーランド・グリーンストーンとも呼ばれている。
ロシア・バイカル湖付近  1850年に発見された。最高の質として知られている。
アメリカ・アラスカ州  エスキモーが石器に用いていたことが、1884年に知られた。
アメリカ・ワイオミング州  ウィンドリバー山脈に存在。産出量が多い。
カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州  BCヒスイとも呼ばれている。

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