レムリアンシード

レムリアンシード
Serra de Cabral mine, Joaquin Felicio, Minas Gerais, Brazil

 この水晶の柱面(側面)には多数の平行な線が走っていますが、この線のことを鉱物学では条線(じょうせん)と呼びます。レムリアンシード(Lemurian-seed)とは、明瞭な条線を示している水晶の特殊な呼び名です。レムリア人{レムリア大陸(伝説上の大陸)の住人}の子孫という意味で、パワーストーンの愛好家の間で使われています。愛好家の話によると、条線部分にはレムリア人の魂が宿っているそうです。レムリアンシードの産地は不明な場合が多いのですが、産地情報が正確に記載されたものがブラジルの鉱物標本専門店で販売されていました。この展示品は、その時に購入したものです。なお、条線はレムリアンシード特有の構造ではありません。ほとんどの天然の水晶に存在します。
 水晶の条線について、科学的に説明しましょう。左下のイラストを見てください。条線部分を真横から見た断面図です。条線に見える部分は、イラスト中の青い面、つまり、水晶の錐面に対応しています。錐面とは水晶の頭の部分で顕著に見かける斜めの面です(右下のイラストを参照)。柱面と錐面は同じ角度で接合するため、条線部分での光の反射具合が同じになります。

レムリアンシードの条線部分の断面図 水晶の結晶面
水晶の条線部分の断面図 水晶の結晶面(赤と青が錐面、緑が柱面)

 つぎに、条線ができる理由を説明します。水晶が太く成長スピードに比べて、水晶が長く成長するスピードが速すぎる場合、柱面の成長に遅れが生じ、柱面の途中に錐面が微妙に出現し、条線が現れます。これが条線ができる仕組みです。では、どの様な条件の下で水晶が成長すると、条線が現れるのでしょうか。合成水晶の製造実験からヒントを得ることができます。普通の合成水晶には条線は存在しません。しかし、合成水晶の成長を促進するために使用する薬品(鉱化剤といいます。水に溶ける二酸化ケイ素の量を増やします。)を変えると、合成水晶にも条線が現れます。通常、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが鉱化剤として使用されています。鉱化剤を塩化ナトリウム(食塩の主成分です。)へ変えると、通常の10倍以上も細長い水晶が生成し、その柱面には条線が形成されていることが確かめられています。この実験結果より、塩化ナトリウムの働きによって、レムリアンシードの条線は創り出されたと考えることができます。塩化ナトリウムは多くの場所で存在する物質です。水晶の原料を運んでくる熱水(熱い地下水)にも、殆どの場合、含まれています。多くの天然の水晶で条線が存在するのは、そのためです。

レムリアンシード  ● レムリアンシード2


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