蛍石(フローライト)

化学式:CaF2

蛍石の結晶(劈開を利用して割った標本)

フローライト

イエロー・フローライト
パープル・フローライト

グリーン・フローライト

Cave-in-rock, Illinois, U.S.A.

Westmoreland, New Hampshire, U.S.A.

ピンク蛍石(天然の正8面体結晶) 層状蛍石
ピンク蛍石 層状蛍石
Argentiere Glacier, Chamonix,
Haute-Savoie, Rhone-Alpes, France
中国 湖南省

蛍光性蛍石
蛍光灯下 太陽光下 紫外線下
強蛍光性蛍石(蛍光灯) 強蛍光性蛍石(太陽光) 強蛍光性蛍石(紫外線)
Rogerley Mine, Weardale, Co. Durham, U.K.

 蛍石(ほたる石)は加熱すると光ります(破片が飛び散るので、確かめるのは危険)。鉱物名(和名)はこの性質に因んだ名称です。蛍石には鉄鉱石を溶かしやすくする性質があり、製鉄の際、鉄鉱石と共に溶鉱炉で加熱されています。フローライト(Fluorite)という英名はラテン語のfluere(流れるの意)に由来しますが、蛍石が鉄鉱石を溶かす、つまり、流れる液体に変える性質があることに因んだ命名です。
 蛍石は劈開(鉱物が規則正しく割れる性質。へきかいと読む)が強い鉱物で、上段の4つの標本のように、正8面体に割れます。この4つは人の手によって割られた物であり、産出した形ではありません。しかし、希に、正8面体の形で産する蛍石が存在します。中段の左側のピンク蛍石が、その例です。
 純粋な蛍石は無色透明な鉱物ですが、その様なものは天然では希です。紫色のものが一番多く、次は緑色を呈しているものです。黄色やピンク色の蛍石の産出量は多くありません。また、中段の右側の標本のように、複数の色彩による縞模様を示す蛍石(層状蛍石)も知られています。イギリス、アルゼンチン、中国など採れますが、産出地は限られています。この様に蛍石の色が多彩に変化するのは、蛍石に混入している希土類元素の違いが原因の1つであると、考えられています。
 鉱物に紫外線をあてると発光することがあり、この様な性質及び発光した光は蛍光(英語ではfluorescent)と呼ばれています。蛍石で見つかったことに由来する命名ですが、全ての蛍石が蛍光を出すわけではありません。むしろ、蛍光性のある蛍石は希な存在です。下段の3枚の写真は、同じ蛍石を蛍光と太陽光と紫外線で照らして、撮影したものです。紫外線では青色に光っています。蛍光灯の光の下では緑色です。太陽光では少し青味が加わって、青緑色を呈しているのは、この蛍石の蛍光性は強く、太陽光に含まれているわずかな紫外線によっても、蛍光を出しているからです。

コラム「フローライト・レンズ」
 透明な蛍石を用いて作製されたレンズ(フローライト・レンズ)は、高級なカメラのレンズや望遠鏡に使用されています。フローライト・レンズが高性能な理由を簡単に紹介しましょう。
 ガラスのレンズを光が通過すると色のにじみが発生し、レンズの性能が低下します。蛍石を使用したレンズでも、ガラス製のものよりも少ないですが、色のにじみは発生します。しかし、蛍石製のレンズとガラス製のレンズを組み合わせると、両レンズで発生する色のにじみが、他者のにじみをうち消し合うように発生し、結果的に、にじみの少ない高性能なレンズが出来上がります。フローライト・レンズは1880年頃には、小さいレンズが顕微鏡で使用されていました。1968年に蛍石結晶の合成方法が開発されると、大きいレンズの製作が可能になり、カメラの交換レンズや天体望遠鏡などで利用されるようになっています。しかし、強度が弱い蛍石の加工は困難であり、フローライト・レンズは現在でも高価なレンズです。

フローライト (裸石) ● フローライト (ジュエリー)
蛍石(外国産原石標本) ●蛍石(国産原石標本) ● フローライト (原石等)


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